後期研修医募集のご案内

臨床研修プログラム

総合診療科科研修プログラム(後期専門科研修)
研修期間
3年

当研修の特徴

栃木県済生会宇都宮病院は昭和17年5月30日の恩賜財団済生会宇都宮仮診療所の開設に始まる。昭和19年8月30日、病床数44の栃木県済生会宇都宮病院となり、その後、建物、設備、診療科の増設を逐次行い、昭和32年1月22日には総合病院の指定をうけ、以来地域医療の中核を担う総合病院に発展してきた。昭和56年3月31日には栃木県救命救急センターが併設され、平成8年5月1日には宇都宮市竹林町に病床数644、敷地面積75,160㎡の新病院がオープンした。また、平成17年6月に健診センターを主な施設とした北館が竣工した。総敷地面積80,204㎡となり、現在に至っている。
当院は従来から1次より3次にいたる救急疾患を扱う頻度が高く、また、医師会運営による宇都宮市夜間・休日救急診療所の後方病院としての役割を果たしており、急性期病院として入院症例数は多く、しかも重症例・急性疾患の占める割合が極めて高い。当然、臨床研修教育の目標も救急医療・急性期医療を中心とした、地域の病院としてのプライマリ・ケアを重視し、広い視野を持った第一線の臨床家としての知識・技術・態度の育成に力を入れている。

研修の理念

当院の理念、基本方針のもと、医師としての人格を涵養し、現在の地域が抱える様々な問題を網羅的に把握し、医学・医療の社会的ニーズと医療チームの一員であることを認識しつつ、日常診療で頻繁に遭遇する疾患や病態に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)、健康にかかわる問題について適切な初期対応等を修得し、新たな基本診療領域の専門医として、総合的な診療能力を有する医師の育成を目的とする。

基本方針

①地域を担う医師に求められる各科の初期診療を行うための臨床的技能を修得する。
②患者の問題を医学的のみならず心理的・社会的側面からも捉え、患者・家族との良好な人間関係を確立したうえで、医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うため努力をする態度を身につける。
③他の医師および医療メンバーと協調して診療を行う習慣を身につける。
④医療安全への配慮を常に怠らない。
⑤病診連携に気を配り、つなぎ目のない医療サービスの維持に努める心構えを習得する。

3年間の研修は、病院総合診療部門として当院にて、総合診療研修Ⅱを行う。必須領域別研修として内科・救急科・小児科をそれぞれ12カ月及び3カ月ずつを行う。当院で行う栃木県済生会宇都宮病院総合診療専門研修プログラムにおいては、総合診療研修Ⅰでの研修期間を6カ月としており、診療所をベースに往診で在宅の看取りを行っている村井クリニックをはじめとする診療グループにて行う。この6カ月は、二年目と三年目にそれぞれ3カ月ずつ回ることで、1年の経過により、診療への習熟を実感することが出来る。当院での総合診療科の研修を12カ月に設定しているが、個人の頑張りを内科部門と共に積極的にサポートする体制が出来ており、ポートフォリオの作成と併せて、内科症例報告をこなす事が可能である。その場合には、整形外科、超音波検査科、外科などの研修も可能である。当院の総合診療部門は、内科のいわゆる初診外来からICUでの重症患者管理まで幅広く取り組んでおり、最大6カ月の選択領域を持つ事は充分に可能であるし、総合診療科の守備範囲が広いため、選択領域として専従しなくても、この12カ月で知識技能を深めることにつながると思われる。救命救急センターを内包し、重症救急患者さんが多い実情からは、研修目標の達成に必要な範囲で当院内の各専門診療科などで研修を行うことが可能である。特に、救急外来当直で初療を受け持った患者さんを引き続き、入院主治医あるいは担当医として治療に参加することも可能である。今回、連携を組ませて頂いた診療所の先生方は、24時間体制の看取りも行う積極的な先生方であり、往診にも力を入れている。場合によっては、重症の方の在宅看取りへのプロセスまで参加することが可能である。
さらに、本プログラムは、総合病院を基本とした専門研修であり、広い目を持った総合診療医の育成を主眼に置いている。当科は、感染症診療、クリティカルケアを得意としており、気管切開を含めた全身管理を重点に据えている。当科に軸足を置きながら、集中治療科を含む多診療科と共に重症患者の管理を行えることは利点であり、内科と総合診療部門を兼ねることに関しても、当院の診療方式を鑑みて、特に支障となることはない。

教育機会

当院の救急部は、北米型ERを実践しており、重症敗血症によるショックや、急性薬物中毒なども総合内科がメインで診療にあたっている。その為、重症患者さんに場合には、チームとしての医療も実現している。また、外来診療においても、初診外来に従事することで、適切な診断に至るプロセスを身につけることが出来る。その上で各診療科と密接に連携を取りつつ、患者さんにとってのベストな方策を講じることが出来る。 各ローテーション先では、それぞれの診療科の特長通りの診療に参加することが可能であり、また、総合診療専門研修I施設として村井クリニックなど、地域で往診、訪問診療、在宅看取りまで行っている診療グループのご協力も得られている。村井クリニックは通所のリハビリテーションも行っており、地域の医療資源としてニーズが高い。さらには、ひばりクリニックは、重症心身障害児の預かりを行っている”うりずん”も併設しており、経験できるものは計り知れない。栃木県済生会訪問看護ステーションほっとは、上記の訪問診療グループとも密接な関係が築かれており、総合診療研修I施設にいながらも本院との関係の継続も問題ないと考えられる。
また、地域の健康増進活動については、当院に併設した健康診断及びドック後の健康指導を基本としている。本プログラムでは、内科外来における診療も大切なひとつであり、検診異常で精査を必要とし、当院を受診された方の二次検診での指導及び薬剤、非薬剤療法などの介入方法を学ぶことが出来る。また、外来診療を続ける事で、慢性期の患者管理の重要性なども学ぶことができる。その上で、地域の医師会主催の検診などにも積極的に参加をする予定である。
いずれの研修の際も、プログラム責任者あるいは、指導医とのコミュニケーションは継続され、最高のポートフォリオという形で研修が修了することを目標とする。

研修科目

消化器内科、血液内科、膠原病内科、呼吸器内科、腎臓内科、内分泌内科、循環器内科、神経内科、総合診療科(救急、感染症、中毒、予防接種など)、救急科(救命救急センター、ACLS取得)、放射線診断部、超音波診断部、地域医療(村井クリニックなど)、外来(総合外来)

選択科目

プログラム上は、選択診療科の選択は難しいが、当院の場合は内科と総合診療科が緊密に連携をしているため、内科と総合診療を期間重複して指導を行う事が可能であり、その場合には最大6ヶ月の選択科目を履修することができる。

取得を目的とする主な資格

3年目終了後 総合診療専門医資格及び日本プライマリケア連合学会の専門医

各科研修内容
研修科期間各科研修目標
5東系
(呼吸器・腎臓・糖尿病)
3ヶ月 担当医として、主治医とともに診察に当たる。呼吸器、腎臓、糖尿病の専門診療に携る。呼吸管理、気管支鏡検査、人工透析、糖尿病管理などを学ぶ。
6西系
(消化器・血液・膠原病)
3ヶ月 担当医として、主治医とともに診療に当たる。消化器、血液、膠原病の専門診療に携る。上、下部内視鏡、上、下部消化管造影を訓練する。
循環器科 3ヶ月 担当医として主治医とともに診療に当たる。心臓カテーテル検査、循環器生理学的検査、超音波検査などの専門的知識、手技を学ぶ。循環器on callの一員として循環器救急の最前線にたち臨床能力を養う。
神経内科 3ヶ月 担当医として、主治医とともに診療に当たる。神経学の系統的知識と神経学的検査、手技、リハビリテーションについて学ぶ。
救急科 3ヶ月 救急専門医の指導のもと、1次から3次までの救急に対応出来る診療能力を身に付ける。
放射線科診断部 1ヶ月 内科診療にかかすことのできない画像検査、画像診断、各種インターベンションについて学ぶ。
総合診療科(Ⅱ) 12ヶ月 診断困難な疾患、救急疾患、各種感染症(AIDSを含む)、予防接種の診療について学ぶ。
総合診療(I:地域) 6ヶ月 老人医療(老人の終末期医療)を真剣に考え、実践をもって体験する。また、家庭医診療所研修を通し地域医療のあり方について考える。
外来 継続的 初診外来および総合外来を担当し、初診から継続診療を行う。
選択科 3ヶ月 履修の進行ぐあいにより最大6ヶ月まで。

外来および検査
外来は初診から、その後の定時外来での継続的診療ができるよう、そして退院後の経過観察が行えるよう個々の外来枠を設定する。検査(内視鏡検査、超音波など)は本人の希望次第で、他科研修中でも継続的に行えるように配慮する。

≪研修スケジュールの1例≫
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
1年目 内科 救急科 小児科
2年目 総合診療Ⅱ 総合診療Ⅰ 総合診療Ⅱ
3年目 総合診療Ⅱ 総合診療Ⅰ その他

研修終了後の処遇

希望により、総合診療科スタッフとして優先的に採用が可能

週間スケジュール(例)
 8時9時10時11時12時13時14時15時16時17時18時
  conf 病棟業務 病棟
conf.
感染
conf.
抄読会 内科
conf.
  conf 外来業務(初診) 病棟業務  
  conf 病棟業務 病棟conf.
回診
 
  conf 病棟業務 病棟業務  
  conf 外来業務(再診) 病棟業務  
  conf 病棟業務