呼吸器外科

呼吸器外科について

科の特色

呼吸器内科とともに、呼吸器全般にわたる診療を行っています。
呼吸器外科が担当するのは、肺・気管・気管支の疾患、気胸、縦隔の疾患、胸壁・横隔膜の疾患、胸部外傷です。以下にその概要を記します。

全般的な活動
① 肺・気管支外科

当院は癌拠点病院であるため、当科の呼吸器外科手術で最も多いのは、肺癌です。症例数は栃木県内の肺癌を年間80例前後手術しています。ほとんどの症例に、小さな傷で手術を行う胸腔鏡下手術もしくは、胸腔鏡補助下手術(VATS; video-assisted thoracoscopic surgery)での切除を行なっており、症例の約80~90%に達します。
また一方では、進行癌の症例に胸膜・胸壁・周囲血管の合併切除を伴う拡大手術にも積極的に取り組んでおり、症例によっては抗癌剤・放射線治療を術前・術後に行い、完全切除ひいては予後の改善をめざしています。
これら進行癌症例や肺機能が低下している症例などでは、少しでも肺の切除量を少なくし、かつ癌の治療自体の根治性も保つため、気管・気管支形成術(気管支を吻合し、病変より末梢の健常肺を残す術式)を行なっています。
そのほか、転移性肺腫瘍、自然気胸、嚢胞性肺疾患、膿胸、肺結核、肺真菌症などを治療しますが、いずれもなるべく小さな傷で体に優しい手術を目指しています。

②気胸

気胸は年間約100例近くの入院があり、全例手術をするのではなく、再発の症例、繰り返す症例や、入院後1週間以上空気漏れが止まらない症例、両側の症例、血胸を伴う症例、手術を希望する症例に対して手術を行っています。
年間30例から40例位の手術をおこなっています。手術は胸腔鏡下手術で行うことを基本としています。

③ 縦隔外科

縦隔腫瘍、特に胸腺腫の手術が主になります。胸腺腫の手術は開胸手術を基本としています。
神経内科と協力して、重症筋無力症の治療の一環として拡大胸腺摘出術も積極的に行っています。良性の縦隔腫瘍は、胸腔鏡補助下手術(VATS)で切除しています。

④ 胸壁・横隔膜外科

胸壁腫瘍は、肺癌・悪性縦隔腫瘍の胸壁浸潤や転移性腫瘍が多いですが、各種人工材料や筋皮弁の技術を応用した切除後の再建を、必要なら形成外科とともに行なっています。
横隔膜腫瘍はまれですが、切除後は人工材料で再建しますし、必要なら広背筋による横隔膜の再建も行っています。
外傷性横隔膜損傷破裂は、胸腔鏡補助下手術(VATS)で修復可能な場合は積極的に行なっています。

⑤ 胸部外傷

交通事故など多発外傷では胸部外傷を伴うことが多く、肋骨骨折、血胸、気胸、肺挫傷(肺の切傷や打撲)をきたします。
肋骨骨折症例に手術を行うことは少なくなりました。ほとんどの症例は、鎮痛をはかり、痛みによる喀痰喀出困難を軽減し、肺炎など肺合併症を予防しながら治療します。
血気胸はほとんどがドレナージのみで治癒に向かいますが、空気瘻や出血が遷延する症例では、VATSでの損傷修復術もできます。
もし患者さんが腹部臓器の損傷を合併していても、当院には腹部・消化器外科の専門家もおり、治療を協同で円滑に行なうことができます。