心臓血管外科

先天性心疾患

当科は、1968年に栃木県で最初に心臓手術を開始した施設で、最初の手術は、先天性心疾患である心房中隔欠損症に対する手術でした。以後、先天性心疾患の手術治療に携わり、今日まで2000例以上の手術を行ってきました。当科の特徴は、まず小児科と綿密な連携を行い、ハートチームとして個々の患者に対応している点が挙げられます。また慶応大学心臓外科や埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科とも連携し、重症度がさまざまな疾患に対応しています。

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主な対象疾患

先天性心疾患は非常に種類が多く、バラエティに富んでいます。 また其々の疾患に対する治療方針も各々異なるため、すべてを説明することはできませんが、当科で主に扱っている疾患は以下の通りです。

1.心房中隔欠損症

心房中隔(右心房と左心房の間の壁)に生まれながらにして、穴の開いている疾患です。自然閉鎖することもありますが、主に小児期から思春期の間に手術(孔を閉じる)をうける方が多いです。最近では、孔の位置、大きさ、患者さんの体格などにより、カテーテル治療(慶応大学、埼玉医科大学などで施行)が可能な場合があります。

2.心室中隔欠損症

心室中隔(右心室と左心室の間の壁)に生まれながらに穴の開いている疾患です。自然閉鎖する場合もありますが、肺高血圧症(心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の内腔が狭くなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる)になる前に手術が必要です。主に乳児期に手術をする方が多い疾患です。手術で孔を閉じる(パッチ閉鎖術:人工心膜で孔をふさぐ)必要があります。

3.ファロー四徴症

主に心室中隔欠損症と右室流出路狭窄(右心室の出口が狭くなる)を併せ持つ疾患です。重症例ではチアノーゼ(血液中の酸素濃度が低下し、皮膚や粘膜が青紫色になるる状態)を伴います。手術以外に根治的治療はありませんが、その時期や方法は患者さんの病状に応じて異なります。多くは乳児期に手術を行います。一回の手術で済む場合もありますが、時期をずらして二回にわけて手術をする場合もあります。

4.房室中隔欠損症(心内膜症欠損症)

心室中隔と心房中隔に欠損がある疾患です。房室弁の形態異常も伴い、原則として手術が必要です。ダウン症候群の合併も多い疾患です。放置すると自然予後は不良ですが、乳児期に、比較的速やかに手術を行えば予後良好です。

5.動脈管開存症

動脈管とは、肺動脈と下行大動脈をつなぐ血管で、胎児が母体内にいる時には開いていますが、出生と同時に、肺で呼吸を開始.すると、通常は閉鎖します。何らかの原因で閉鎖しない場合、動脈管開存となります。最近はカテーテルを用いた閉鎖術(塞栓術:当院小児科で施行)が主な治療方法になります。



その他 かかりつけのお医者さんに先天性心疾患といわれた場合には、いつでも気兼ねなく当院小児科あるいは心臓血管外科にご相談いただけると幸いです。