脳神経内科

ボツリヌス療法

ボツリヌス療法外来【痙縮外来】

第2・4金曜日に適宜実施しております。
当院では、脳卒中の後遺症である手足の筋肉のつっぱり(痙縮)に対して、ボトックス療法を実施しております。

痙縮とは

イメージ図 痙縮脳卒中でよくみられる運動(機能)障害の一つに痙縮という症状があります。
痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足を動かしにくかったり、勝手に動いてしまう状態のことです。
痙縮では、手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。
痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって間接の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙攣がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要になります。



ボツリヌス療法とは

ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。
そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができるのです。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
この治療法は世界80ヵ国以上で認められ、広く使用されています(2010年10月現在)。
日本では、手足(上肢・下肢)の痙縮、眼瞼(がんけん)けいれん[瞼が下がってきてしまう病気]、 片側顔面(へんそくがんめん)けいれん[顔の筋肉が収縮する病気]、痙性斜頸(けいせいしゃけい)[首が斜めに曲がってしまう病気]、小児脳性まひ患者の下肢痙縮(けいしゅく)に伴う尖足(せんそく)[つま先が伸び、かかとが床につかない状態]に対して認可されています。

ボトックス治療で期待できること

手足のつっぱり(痙縮)に対して、ボツリヌス療法は次のようなメリットが期待できます。

●手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなることで、更衣、移乗、歩行などの日時う生活動作が行いやすくなります。

●関節が動かしやすくなり、手のひらや腋の下、陰部などの清潔を保ちやすくなります。

●手足の筋肉がやわらかくなることで、リハビリの効率があがります。

●痛みを緩和する効果が期待できます。

●関節が固まって動きにくくなったり、変形するのを防ぎます。(拘縮予防)

●介護の負担が軽くなります。