大動脈センター

大動脈瘤

大動脈瘤とは

イメージ図 大動脈の走行 大動脈は心臓から出た血液が流れる直径2cmほどのホースの様な臓器で、心臓から胸部~腹部まで続いています。(右図)
大動脈からたくさんの動脈が枝分かれし、各臓器に血液を送っています。大動脈は言うなれば血流の幹になる部分です。
大動脈瘤(瘤:こぶを意味します)とは大動脈にこぶができる疾患で、瘤はどこにでもできる可能性があります。胸部に出来れば胸部大動脈瘤、腹部に出来れば腹部大動脈瘤といいます。

 矢印 原因は?
一般に動脈硬化により血管が硬く、脆弱になるために起こるといわれています。高血圧なども原因の一つです。

 矢印 症状は?
大動脈瘤は、破裂するまで無症状な場合が多く、非常に怖い病気です。そのためかなり大きくなった後に、検診や他の病気の精査中に発見されることの多い病気です。一旦破裂すると、動脈瘤の部位によって胸背部痛や腰痛、腹痛を伴い、また突然死する可能性も高い病気です。

治療は?

胸部で5から6cm、腹部で5cm以上に大きくなってくると破裂の危険性が高まるため、治療が必要です。一旦破裂すると、手術をしても治療成績が非常に悪くなりますので、症状が無くても、破裂による突然死を予防するために、破裂する前に外科的治療が必要になります。内服薬で動脈瘤を小さくすることはできません。
比較的小さな大動脈瘤の場合は、高血圧の治療と、定期的(6か月から一年ごとに)な画像検査(エコー、CT等)による経過観察が必要です。

外科的手術治療(人工血管置換術)

手術は全身麻酔で行います。胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤で手術方法が異なります。

胸部大動脈瘤

イメージ図 胸部大動脈瘤人工血管置換術 大動脈瘤を切除して、人工血管で置き変えます。大動脈瘤を切除するためには、手術の際に血液の流れを止めなければなりません。そのため胸部大動脈瘤の手術の際には、動脈瘤の位置によって、心臓を止めなければならない場合や、脳に流れる血流を一時的に止めなければならない場合があり、人工心肺という補助循環装置を使用して、他の臓器へ血液を送り、術中臓器障害がおこら無いような工夫をします。
しかし、それでもなお脳梗塞、呼吸障害、心不全等のリスクが伴います。

 矢印 腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤の場合は、単純に瘤の上下で動脈を遮断し、人工血管で置換します。従来の方法では、腹部を20cmほど切る必要があります(下図)。

人工血管とは?

写真 人工血管人工血管とは特殊な布でできていて、人間の血管に合わせて様々な形のものが売られています(右図)。基本的には一回手術をすれば、一生取り換える必要はありません。

ステントグラフト
動脈瘤に対する外科的手術では、胸部でも腹部でも大きく皮膚を切らなければなりません(通常20cmぐらい)。また人工心肺を使用する手術も、患者さんへの負担は決して少なくありません。そのため最近では,、より患者さんへの負担を少なくする、カテーテルによる血管内治療(ステントグラフト)が普及しており、当院でも適応のある患者さんには積極的に治療を行っております。詳細はステントグラフトのページをご覧ください。